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裁定取引 [株]

本日前場の日経平均は305円17銭安の10239円05銭で終了しています。
昨日の上げ過ぎの反動、外部環境も思わしくなく、さらに野村の巨額増資(5000億円)が伝わり、
他の金融機関の増資の懸念も加わって安く始まり、そのまま軟調に推移し、大幅安になりました。
ちなみに本日は権利落ち日ですが、その権利分は57円程度です。


2009年9月25日前場の日経平均    2009年9月25日前場の日経平均先物

始値 10395円45銭( 9:01)        10340円( 9:00)
高値 10395円45銭( 9:01)        10350円( 9:00)
安値 10228円60銭(10:41)        10230円(10:00)
前引 10239円05銭(11:00)        10250円(11:00)

データ
寄り付き前の外資系証券10社注文状況

          売り     買い
9月 1日 1100万株    990万株   110万株の売り越し
9月 2日 2240万株   2360万株   120万株の買い越し
9月 3日 1670万株   1460万株   210万株の売り越し
9月 4日 2610万株   1680万株   930万株の売り越し
9月 7日 1430万株   1350万株    80万株の売り越し
9月 8日 2430万株   1550万株   880万株の売り越し
9月 9日 3100万株   2670万株   430万株の売り越し
9月10日 1720万株   1760万株    40万株の買い越し
9月11日 2570万株   2510万株    60万株の売り越し
9月14日 1630万株   2550万株   920万株の買い越し
9月15日 1490万株   1470万株    20万株の売り越し
9月16日 1770万株   1540万株   230万株の売り越し
9月17日 1280万株   2260万株   980万株の買い越し
9月18日 2380万株   3730万株  1350万株の買い越し
9月24日 2340万株   2290万株    50万株の売り越し
本   日 3590万株   2970万株   620万株の売り越し

これ以前のデータは左サイドバーのマイカテゴリー
寄り付き前の外資系証券10社注文状況 でご覧ください。

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【裁定取引】

現在の日本市場は先物とオプションが主役になっています。
もちろん個別株投資をメインにしている投資家の存在がありますので、閑散ながらも毎日の出来高があります。
もちろん新興市場では先物、オプションは無関係なので、個別株投資が主役の座を維持しています。

さて、先物取引と切っても切れないのが裁定取引です。
SQ日には先物の清算価格がやってきますが、この精算値が現物価格と同一になります。
したがって先物価格が割高(現物価格+金利分以上)のときに先物を売ると同時に現物を買って
SQ値で清算すれば差額の利益が確定します。

では具体例で考えてみましょう。
厳密にいえば金利分は日々減少します(3ヶ月間と1日前では金利収入が違う)が、
低金利でもあり同一として考えます。

仮条件
日経平均10000円  金利分年0.4% 3ヶ月分0.1%=10円とします。
つまり日経平均先物が10010円ならば金利分も含めた条件が同一になります。
(理論価格の一致)
余談ですが、6月限、12月限の日経平均先物が当限(一番SQ日に近い建て玉)になると
3月、9月の配当金の権利が現物についていますので(場合によりますが50円内外)配当権利付き最終日までには現物と先物の逆転現象(先物<日経平均)が起きます。

先物に買いが入るとします。
先物が上昇します。
上記の例で先物が10020円以上になると裁定買いのチャンスが発生します。
(日経平均10000円)
割高になった先物を売り、割安なままの日経平均現物を買います。
売られた先物は下がり、買われた現物株は上がり理論価格に収れんします。

たとえば10030円(現物10000円)の時に裁定買いが実施されれば
先物は10030円→10020円に、現物は10000円→10010円になり、
理論値の10円差に戻ります。
上記の裁定買い実施者は10020円先物売り現物10010円買い
2つのポジションを持ったことになります。
この10円差は価格がどう変化しようともSQ日(SQ値)で生産すれば残りますので、
無条件に利益になります。
なお説明のための数値なので金利差と同じという突っ込みはやめましょう。

SQ日まで持てば利益は確定ですが、途中での反対売買による決済があります。
これが裁定解消売りです。
上記のポジションを持っている投資家が先物10050円、現物10070円(逆ザヤ)に
なったらどうでしょう。
売り建てている先物を買い戻し、保有している現物株売却を同時に実施します。
先物10050円→10060円
現物10070円→10060円になったとしたら
先物では40円の損失が出ますが(10020円売り、10060円買い戻し)
現物で50円の利益が出ます。(10010円買い、10060円売却)
利幅は10円でSQ値での清算と同じかもしれませんが、時間短縮ができます。

上記はあくまでも説明のための数値で、実際の市場ではこの裁定取引専門の投資主体が存在して利益獲得のチャンスを虎視眈々と狙っています。

さてどのくらいの利ザヤがあれば裁定取引を実施するかはもちろん自由ですが、
理論値が10円差(先物>現物)ならば、20円より30円、30円より40円と価格差が大きいほど裁定取引希望者が多くなるのは当然で、裁定買い(つまり現物買い)が多くなります。

そうなれば先物が独歩高になればなるほど、追随の裁定買いのボリュームは大きくなります。
価格差が理論値に戻るまで裁定取引が発生するからです。(もちろん理論的にはです)
日経平均現物10000円、先物10010円(理論値)の時に先物が10050円まで買われたらどうでしょう。
当然のように裁定買いが入り先物が10050円ならば現物は10040円を目指すでしょう。
先物は売られますので10050円から下がる圧力がかかりますが、そこを狙ってさらに先物買いを入れれば先物は上昇します。
かりに先物が10070円まで上昇すれば、現物は10040円→10060円を目指して上昇します。
(もちろん主役は裁定買い→裁定買い残高の増加)

いささか単純すぎますが、これが先物主導の上昇です。
では先物を買い上げる人の目的はなんでしょう。
ただ先物を買い上げるだけでは自分が利食うチャンスがありません。
誰かに上値を買ってもらわなくてはいけません。
そこでそのターゲットになるのが、オプションのコールを売っている投資主体です。
権利行使価格10250円のコールを売っている投資主体は日経平均がSQ日に(正確にはSQ値が)
10250円以下ならばオプション料の丸取りです。
10250円を超えた場合は 損失と受け取りオプション料 の差額になりますが損失の可能性は無限大になりますので、リスクヘッジが必要になります。
そのリスクヘッジに使われるのが先物買いです。
値上がりによるコール売りの損失無限大と先物買いによる利益無限大で相殺するのです。

お分かりですね。
このコール売りの投資主体に先物買いを行わせ、その時に先物を買い上げていた先ほどの投資主体が利食い売りをぶつけるのです。
先物買いを単独で行う投資主体の最大のターゲットはコールオプションの売り手ということです。
(もちろん単なる値上がり狙いもあります)
もちろん相場のことですので思惑通りことが進むかどうかは分かりませんが、相場の地合い、売買のボリューム、コールオプションの建て玉数などを綿密に研究、分析して行動(しないことも含め)決定するのです。

いままで述べたのは相場上昇の場合ですが、もちろん逆のパターンが発生することもあります。
相場下落→裁定解消売り→プットオプション(売り手)主体狙い→先物売り誘発
のパタ-ン(狙い)です。

かつては信用残と信用取り組みが重要(今でも注意は必要ですが)と言われていましたが、現在は裁定残高とオプションの建て玉量にも注意を払わなくてはいけなくなりました。
特に現物の売買高、売買代金が少ないほど先物、オプションに関する数値に注意が必要です。

これは一つの目安ですが、先物と現物の価格差はすぐに埋められる(上記のように専門家がいるため)先物の高値と現物の高値(もしくは安値どうし)の時間差がほとんどない(1分現物が遅れる)場合は先物主導→裁定買い(もしくは裁定解消売り)が出ていないかどうかを確認したほうがよいでしょう。

このことが一目で確認できるのは現物と先物の高値、安値とその時間が記されている、このブログしかありません。(ただし前場終了時点のみ) 
賢明な投資家の皆さまは過剰なセールストークということにお気づきだと思います。
投資は自己責任であることは言うまでもありません。



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wine

こんばんわ!
 今日は、耐久財受注(8月分)のマーケット開始1時間前に発表され、+0.4%が予想されています。
あとは、新築住宅販売件数(8月分):マーケット開始30分後に発表され、季節調整済み年率換算で44万件が予想されています。

 しかし、S&P はストキャで見ると売られすぎゾーン真近ですね!
また、右下がりの20カ月移動平均線がレジスタンスになっています。
 (いままでのアメリカの上昇感は少し早すぎのようにも感じます。)
 
 また、EU圏周辺のいくつかの中央銀行は、金利を下げたみたいですね!(周辺諸国は厳しいみたいですね!)
「仕込んでも、おいしくないと意味がない!!」(俳句風)
 計算しなおしになるかな??(TT)
 

(^^)



by wine (2009-09-25 20:29) 

renbajinharuhi

こんばんは、wineさん。
8月の耐久財受注 前月比-2.4% (T T)
詳細はhttp://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT855424920090925
ですが、wineさんには不要でしょう。(とっくに調べているでしょう)

今までが順調すぎたのか、なんだか不安な数値が増えてきましたね。
by renbajinharuhi (2009-09-25 21:51) 

renbajinharuhi

こんばんは、ナンピンマンさん。
ご訪問&nice!をありがとうございます。
by renbajinharuhi (2009-09-26 19:49) 

renbajinharuhi

こんばんは、龍之介さん。
ご訪問&nice!をありがとうございます。
by renbajinharuhi (2009-09-26 19:49) 

wine

こんばんわ!(^^)

 夜に米商務省が発表した8月の新築住宅販売件数は、前月比0.7%増の42万9,000戸となり、これで5か月連続の増加です。
 昨年9月以来の高水準です。ポジティブサプライズですね。
 バフェットが不動産業界に食指を伸ばしているところから見てもいい時期だと思います。(^0^)
しかし、前年同月比では3.4%減となり、市場予想の44万戸を下回っています。(重要です。反転しても上昇は緩やかになりそうですね!)
 また、販売価格の中央値は前月比9.4%減、前年同月比では約12%減の19万5,200ドルとなっています。(中古販売価格に引っ張られているので当然です。)
 また住宅在庫は季節調整済みで26万2,000戸となり、現在の販売ペースで7.3か月分に縮小しています。
(差押えがすくなっている証拠だと思います。また、購入者も、政府支援で
増えてきているのがわかります。)
 あきらかに不動産価格は底周辺ですね!(^0^)
やはり今年いっぱいが、楽しいときになりそうです!!
(^0^)/
by wine (2009-09-26 22:14) 

wine

アメリカで投資家新聞(プロアマ問わず広く読まれています。)バロンズで、日本が酷評される記事が載っています。
何日かしたら、日本でも紹介されるでしようが影響はあるかもしれません!
(><)

(^^)


by wine (2009-09-27 06:28) 

renbajinharuhi

こんにちは、wineさん。
いつも貴重な情報をありがとうございます。

少子高齢化による人口減、労働力人口の減少が続き、活力が失われていく中、対GDP比で世界に例を見ない巨額の借金(国債)が財政破綻→デフォルトの顕在化の可能性の増加という指摘ならば、いまさら何を言っているんだという感じです。

当ブログでも
日本国債格上げ!?
http://renbajin.blog.so-net.ne.jp/2007-04-24

近未来(フィクション)
http://renbajin.blog.so-net.ne.jp/2007-09-05-1

など2年前に指摘しています。

by renbajinharuhi (2009-09-27 13:58) 

櫻井

株式投資はリスクが大きいと聞きます。不動産投資は株に比べてリスクは少ないですよね。株もやっていたのですが、現在はマンション経営に大変興味があります。マンション投資セミナーには毎月、いろいろな会社のに参加していますが、今月はジェイピーリターンズの不動産投資セミナーに参加しようと思っています。マンション経営は将来のことを考え、月々の安定した家賃収入を目的としてやりたいです。
by 櫻井 (2009-10-05 13:52) 

renbajinharuhi

こんにちは、櫻井さん。
不動産投資は株に比べてリスクが少ないとしたらリターンも少ないと考えるのが適切ではないでしょうか。
ローリスク・ハイリターンの商品があれば多く(すべて)の人がそれを選択するはずです。
人口が減るということは賃貸住宅の需要が減るということです。
経済が低迷するということはオフィス需要の減少、給料が少なくなり低価格志向が強くなり価格(家賃)引き下げ競争に巻き込まれるリスクが高くなります。
さらに建物は日々劣化しますので、減価償却が必要になり、修繕積立金や管理費用(自分でやらないならば)も必要になります。
不動産会社のセミナーでは高利回りが提示されますが、すべての必要経費や税金を考えれば利回りはそう高くはならないはずです。
(もちろん空室リスクもあります)
良い物件を選べば良いと言う考えは良い銘柄(株式)を選べばいいという考えと同じです。
もちろんどちらにも良い面と悪い面があり、それらをすべて理解の上どのようにバランスをとるかは個人個人で違うでしょう。
by renbajinharuhi (2009-10-05 14:07) 

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